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ペンソン荒木の夜も更けて [ブラジル]

9/21|10日目
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長距離バスターミナルから地下鉄で10分ほど。リベルダージ Liberdade の次の駅、サン・ジョアキン San Joaquim で下車。サン・ジョアキン駅は東洋人街のあるリベルダージ地区の南に位置する。駅から坂道を50メートルも下ると噂に聞きし日本人宿ペンソン荒木がある。中庭を内側に抱え込み、表からは扉の表情しか見えない町並みの中、見落としかねないサイズで「ペンソン荒木」と印刷されたラミネートがかかっている。呼び鈴を鳴らすと厳重な鉄柵扉の更にその奥の扉の鍵を開け開け、60代中ごろの女性が現れる。「いらっしゃいー。」

チェックインの手続きの間、名物のコーヒーを啜り日本の新聞に目を向ける。タイでクーデター、阿部さんが総理、ふむふむ。
新旧館併せて4つの鍵を受け取り、旧館に移動する。(建物の二重扉の鍵で部屋に鍵はない。)
朝の9時過ぎ、春の暖かな日差しに目を細めながら旧館へもう10数メートル坂を下る。お喋りをしながら坂下の学校に向かう中学生、出勤中のOLの中にも見馴れた東洋人の顔があって、ついつい目で追ってしまう。

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荷物を部屋に広げ、マイコと長距離バスターミナルから一緒だったイシイ君と朝食を取りに東洋人街へ。リベルダージ近辺は小さくて親しみやすい商店街が縦横に走り、でも視界が開けると大きな弧を描いた幹線道路がそこここに見える。麻布十番っぽい。「つがる」と書かれた看板であったり、朱色に塗られた街灯の形状であったりが異空間へ迷い込んだような気分にさせる。朝食のスタンドではNHKが放送中。
イシイ君はバックパッカー情報を豊富に持ち、その情報を誰彼と伝えずにはいられないタチ。そして他人の情報についてはしなきゃいいのに訂正、言い換えをしてしまう。得心がいった時は白目をしばたつかせながら大きくゆっくりうなずく。
何だか変な感じだった。そもそも一人旅が3人も揃うとなんともよろしくない。声に出して言ってみたら皆合点がいったので、まずはマイコがそそくさとその場を去る。マイコはイシイ君にボリビアでも出会ったらしいがどうやら苦手らしい。

イシイくんはオレが引き受けた形。サンパウロ一のビジネス街、パウリスタ大通り Av.Paurista を往く。昼ぐらいまで苦労しながらT.C.の換金などをする。
パウリスタ大通りは完全な金融街でリッチなビジネスマンやOLが数多くいる区域。歩行者に開放された石畳の通りでカフェメシ。ん~、こんなんもブラジル。と自分に言い聞かせつつコジャレタランチ。パスタをビールでグイグイ流し込んでいたら、コーヒーしか頼まなかったイシイ君は地下鉄で宿に戻るとのこと。へへへ。
ほろ酔いのまま大通りにあるサンパウロ美術館へ。ゴッホとマチス、ロートレックにセザンヌと四方をぐるり囲まれた中央のソファで酔いと疲れもあり眠る。

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パウリスタ大通りとリベルダージ通り Av.Liberdade を扇の親骨に例えるとその要に当たる部分が地下鉄の乗換え駅になる。それぞれに3駅ほどの距離なのだが帰り道はその直線距離を歩くことにする。その道はブエノスアイレスとは違って非常に歩きづらく(ブエノスアイレスは碁盤の目のようになっている)道端に寄ってガイドブックを開いても自分がどこを歩いているのかわからなくなる。
今までに訪れた国では少し歩けばその街の空気に馴染めたような気がするのだが、この街ではそうもいかない。昨晩のブラジルショックもあり、気が小さくなっている模様。立ち止まると近寄ってくるちょっとしたルンペンがおっかないのだ。
壁の落書きを写真で撮ったり、ガイドブックをじっくり眺めたりということが出来ない。大通りに出て、ここなら写真が撮れそうだとファインダーを覗くとその矩形の中央に両腕を頭の後ろに回し、両足を大きく開いた若者とその若者の太ももの内側を背後から探るポリスがいる。ワオ!
夕刻宿に戻り、今後の予定を考えつつビールを空けたり、宿の裏にあるネットカフェで調べ物をしたり。すっかり暗くなった中庭で懐中電灯の光の下、洗濯物を洗う。

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マイコと夕飯を食べに行き、酩酊。宿に戻るとイシイ君と初登場のユーコさんがキッチンで話し込んでいるので混ぜてもらう。サトウキビで作ったお酒ピンガ Pinga を一本開ける。
ユーコさんは日本でブラジル人労働者の子ども達の先生をやっているとのことでその辺りの話を興味深く聞く。

  • ブラジルの東大といわれているサンパウロ大学に日系人は人口比率以上に入学しているのでブラジルでの日系人のステイタスは高いということ。
  • そんな日系人が日本に行くといわゆる3Kの仕事にしか就けず、プライドをぼろぼろにされるということ。
  • そんな親の子ども達は日本でも勉強をせず、ブラジルに帰ったら帰ったでブラジルの勉強もしなくなってしまうということ。
  • そういったことがブラジルの日系人社会でちょっとした問題になっているということ。

2度と出会わないかもしれない日本人4人、普段喋らないようなことまで喋って1時過ぎまで盛り上がるのでした。

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